英国では1,100人超の10週間の試験、イタリアでは31校での授業設計を調べました。課題や小テストの改善と、標準化テストで差が出なかった点を併記しています。 人が全回答を確認した条件や授業時間の使い方が重要です。日々の課題の成果を、そのまま長期の学力向上へ一般化しないことが焦点になります。 授業の中でAIの効果を追う Googleは10月29日、英国とイタリアでGeminiを用いた教育研究の結果を紹介しました。英国ではEediの学習基盤とGeminiを組み合わせ、12〜15歳の1,100人超を対象に10週間の無作為化比較試験を行いました。イタリアでは31校の教員による授業設計と教室での活動を約1年かけて調べています。対象となる使い方も評価方法も異なる研究です。英国の試験では、静的なヒント、人間の個別指導、AIの個別指導を比較しました。AIの回答は生徒へ届く前に専門家がすべて確認したとしています。今回の結果を、人による監督なしで同じ成果が出る証拠として扱うことはできません。具体的な条件と結果を合わせて読む必要があります。 小テストの改善と標準化テストを分ける 英国の試験では、基盤内の課題や中間の小テストでAI指導が人間の指導と同程度の成果を示したと報告しています。一方、同じ期間のSTAR標準化テストでは改善が現れませんでした。同社は段階的に考える指導に時間がかかり、解いた問題数が少なかったことを一つの説明として挙げています。AI指導の平均は約14問、静的なヒントでは約19問でした。この説明は同社の分析であり、原因が確定したとの報告ではありません。イタリアでは教員による授業の共同設計と、参加感や負担に関する報告を調べています。こちらの観察や自己報告を英国の比較試験と同じ強さの証拠に置き換えないことが焦点です。授業参加が増えたこと、教員が楽に感じたこと、学力が長く定着したことは、それぞれ別の結果として評価する必要があります。学校と教育事業者が主な影響対象です。 人の確認に必要な時間まで含めて判断する 学校で試す場合は、学習時間、扱った単元、教員の確認時間を合わせて記録することが論点になります。質問への支援が丁寧になる一方、同じ時間に進める範囲が狭くなる可能性があります。課題の正答率だけを見ると、その違いを捉えにくくなります。また、全回答を専門家が事前に確認する条件を維持するには、人員や運営費が必要になると見られます。生徒への応答をどこで止め、人の支援へ切り替えるかも検討対象です。Googleは学年全体を通す追試や指標の拡充を探るとしています。現時点の結果から、あらゆる年齢、教科、国へ効果を広げて断定することはできません。導入の評価では、日々の学習のしやすさと独立した試験での成果を並べ、長期で確認する方法が考えられます。教員を中心にした設計をどの程度再現できるかが、次の判断材料になります。